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2006年12月17日

死亡推定時刻

朔立木:著者
光文社文庫

うらがきより
山梨県で地元の有力者の一人娘が誘拐される事件が起こった。
警察の指示に従った結果、身代金の受け渡しは失敗。少女は死体となって
発見された。県警は、遺留品についていた指紋から、無実の青年を逮捕。
執拗な揺さぶりで自白に追い込んでしまう。
有罪は確定してしまうのか?そして真犯人は?
現役の法律家が描く、スリリングな冤罪ドラマの傑作。

法律家、とは弁護士とは違うのかな?
いずれにせよ法律には詳しいということなんだろし、警察や裁判官の
実情なんかも詳しそうだ。
まさしく「冤罪の作り方」のマニュアル本みたいで、小説と言うよりは
ノンフィクションかドキュメンタリーか?と思わせる文章構成。
所々に説明が挟まったりして、なかなかわかりやすい。
前半は、警察がどのようにして青年を犯人にしたてあげるか、ということを
描いて行き、後半で”まともな”弁護士が、明らかに冤罪だと控訴する
その過程が描かれていきます。

事件が起こった時、取り調べにあたる刑事の中で、「事件の真相」の
ストーリーはあらかじめ作られている。
そのストーリー通りに「自白」しないと、脅し・暴力・なだめあらゆる
手を使って、ストーリー通りにもっていこうとする。
冤罪とはそんな風に作られるんだな、と驚愕です。
もちろんこの話の場合極端すぎるとは思いますが、なくはないだろうと
想像はできるのです。
刑事の全てが正義の味方じゃない。だけど正義の味方過ぎても、逆に
狂ってしまう恐ろしさ。
そしてやる気の無い、警察様に間違いはない的な弁護士に当たって
しまったときの無意味さ。
読んでて怖くなりますよ。

ただねぇ。事件そのものはあまりにもお粗末すぎて、もちろん警察の
おえらいさんの保身の為に、偽装がされていくっていうのはあるんだけど
この程度で、黙って、というか怯えて、殺人者にしたてあげられてしまう
青年があまりにバカ過ぎ。
気が弱すぎる青年だからこそ簡単に出来た冤罪でしょう。
ここはひとつ、バリバリに戦う男でも、やってみて欲しい(笑)

ラストは、現実ってこんなもんかもしれないな、とそれはそれで
納得出来るものでありました。
最後まで絵空事にしない筆力は秀逸だと思います。

投稿者 fran : 2006年12月17日 23:09

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