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2009年10月27日

パパとムスメの7日間

五十嵐貴久:著者
幻冬舎文庫

「BOOK」データベースより
イマドキの女子高生・小梅16歳と、
冴えないサラリーマンのパパ47歳。
ある日突然、「大キライなパパ」と「最愛の娘」の
人格が入れ替わってしまったら?
ドキドキの青春あり、ハラハラのサラリーマン人生あり。
ハートウォーミングな家族愛を描いた笑いと涙の
ノンストップ・エンターテインメント長編。

この作品がハードカバーで初出された頃、作家ご本人から
宣伝のコメントいただきました(笑)
2006年ですね。
この作品はドラマ化されたこともあり、もぅすでに
人気有名作家のひとりに数えられているでしょうから、
あのようなコメントをする時間もなくなったでしょうけど。

五十嵐氏の作品は比較的映像化しやすい、本当の意味で
エンターテインメントです。
だから、ドラマ、実は見てないんですが、想像が簡単に
できてしまって(笑)
見なかったのをちょっと後悔してます(^^;
けど、見なくてよかったかも、というのもあります。
原作と比べずに済んだし。

とにかく、おもしろかった。
パパとムスメの中身だけが入れ替わってしまったら・・・
いうなれば、自分は会社勤めだし、どっちかいうとパパの
立場であり、パパの言うことの方がわかるわけだけど、
元女子高生としては、ムスメの気持ちもわかる。
尤もあたしはどっちかいうとパパっ子だったし、毛嫌い
するほど家にいた記憶がないんだけど。

なんつーか、ここまでエンターテインメントに徹してくれると
安心して読める。
なんか、続編?ぽいのも出てるので、はやく文庫にならないかなー。

投稿者 fran : 00:07 | コメント (2)

2009年10月24日

女王様と私

歌野晶午:著者
角川文庫

「BOOK」データベースより
真藤数馬は冴えないオタクだ。
無職でもちろん独身。
でも「引きこもり」ってやつじゃない。
週1でビデオ屋にも行くし、秋葉原にも月1で
出かけてるし。
今日も可愛い妹と楽しいデートの予定だったんだ。
あの「女王様」に出逢うまでは。
彼女との出逢いが、めくるめく悪夢への第一歩だった…。
「このミステリーがすごい!」1位。
「本格ミステリ・ベスト10」1位。
日本推理作家協会賞受賞。
本格ミステリ大賞受賞。
四冠制覇の歌野が贈る、未曽有の衝撃。

またも現実逃避だよ;;;
つか、これは、最高にえぐいけど(^^;

もぅ読み難いのなんの。。。日本語破壊。
今時のガキがつかってる、小さいあいうえお、、、
〜するのゎ、〜ぢゃないのヵナ、ぁりぇなぃ、〜だぉ

・・・これだけでイライラしてきた・・・

それが会話で使われてるんだからもー。
よくまぁ、ここまで研究したもんだ。歌野氏。
現役に変換させたんじゃないか?(笑)

といいたいとこだけど、2009年現在もこの表現
有効なんでしょうか^^;;;;
初出が2005年ですからね、3年たったら死蔵なんて
ガキの世界じゃ当たり前だろうし。
流行もの(というのかどうかも謎)を扱うには
それなりの覚悟も必要でしょう。

それはさておき、トリックもオチもなんだかなー
所詮理解出来ない世界なんだから、しょーがないですが。
かつ、どれが現実なんだか区別がつかない不気味さ。
ひっかけばっかりで、なにをどう紹介していいのかにも
困るような作品(苦笑)

ま、恩田陸氏と同じでこの方にも当たり外れは承知で
挑んでいますから(笑)
次は当たるといいなぁ(苦笑)

投稿者 fran : 23:33 | コメント (0)

2009年10月23日

145gの孤独

伊岡瞬:著者
角川文庫

「BOOK」データベースより
プロ野球投手として活躍していた倉沢修介は、
試合中の死球事故が原因で現役を引退した。
その後、雑用専門の便利屋を始めた倉沢だが、
その業務の一環として「付き添い屋」の仕事を
立ち上げることになる。
そんな倉沢のもとに、ひとりの人妻が訪れる。
それは「今週の水曜、私の息子がサッカーの観戦を
するので、それに付き添ってほしい」という依頼だった。
不可思議な内容に首を傾げながらも、少年に付き添う
ことになる倉沢。その仕事が終わるや、またも彼女から
「来週の水曜もお願いします」という電話が入る。
不審に思った倉沢は…。
情感豊かな筆致で綴りあげた、ハートウォーミング・ミステリ。
第25回横溝正史ミステリ大賞受賞第一作。

なんか、前作「いつか虹の向こうへ」を読んだ時には
感じなかった面白さが見えてきた。
いや、たぶん、おもっきりベタなんですが(笑)
無理矢理面白くしようという、主人公の会話の端々に
作者の魂胆も見えてきそうで。

でもまぁ、嫌いじゃない。
戯画化っぽいわざとらしさも、計算なんだろうと思ったら
気にならない。
それだけの内容はありますね。

それにしても、現実逃避な話ばっかり続いてる気がするが、
人間って、ここまで逃避できるものなのだろうか?
強いとか弱いとは、関係ないのだろうが、ここまで現実無視
できるなら、今自分がこうしてる世界は、本当に現実
なんだろうかと、怖くなってくる。

私が、会って、話をしている人は、本当に存在してますか?

投稿者 fran : 00:29 | コメント (0)

2009年10月22日

隻手の声-鬼籍通覧-

椹野道流:著者
講談社文庫

「BOOK」データベースより
法医学教室に入って半年、新人・伊月崇の毎日は、
相変わらず、実に忙しく、実にそれらしい。
解剖、親子鑑定、学会発表の準備―そんな彼が最近、
新たにハマっている趣味、それはオンライン・ゲーム。
幼なじみの刑事・筧のアパートでたまたまやって、
妙に気に入り、持っていなかったパソコンまで買う勢い。
どうやら「中」で知りあった、ある人物に興味を
惹かれているらしいが…!?法医学教室奇談、第四弾。

すっかりお気に入りのシリーズになっちまいました(^^;)v
たぶん、これ、BLの部類に入らなくもない。。。
ギリギリの感じ(^^;
で、まぁそこに目をつぶれば、非常に練られたミステリ
だったりするんですけど。

ただ、ちょっと、自己満足なご都合主義で片付けて
しまいたがる傾向はあるかもしんない。

そんでも新刊がでるたびに、手が伸びるのだから
好きな世界なんだろう(ひとごと?)

法医学って、めずらしいし。。。

投稿者 fran : 00:12 | コメント (0)

2009年10月20日

せん-さく

永嶋恵美:著者
幻冬舎文庫

「BOOK」データベースより
「俺、帰りたくなくって」
29歳の専業主婦・諸藤典子は、インターネットの
掲示板で知り合った中学生・浅生遼介から、
オフ会の帰りの新幹線の中で別れ際にそう告げられる。
典子は家出を思いとどまらせるつもりで、ほんの少しだけ
遼介につきあうことにした。
が、遼介はなかなか帰ろうとしない。
道行きの途中、二人は、遼介と同じクラスの友人の両親が
殺人事件にまきこまれ、友人自身も行方不明であることを知る…。
巧緻なプロットと衝撃の結末で、静かにこわれゆく現代人の
不安とさびしさをすくいとった感動の長編ミステリ。

初作家。
なかなか、読ませた。

ネット上で知り合った顔も知らない相手。
少年犯罪。
ひきこもり。
おそらく、全く同じことが現実に起きても不思議は
ない話である。
しかも、早々にネタバラしをしておきながら、じつは
終盤で2転3転。おいおい。
なんとなく心理サスペンスなミステリ。

惚れ込むほどではないが、次作も読んでみようかなという
気にはさせる。

投稿者 fran : 23:55 | コメント (0)

2009年10月19日

漆黒の王子

初野晴:著者
角川文庫

「BOOK」データベースより
ある地方都市のマンションで、男女の死体が発見された。
遺体は暴力団藍原組組員とその情婦。
だが、藍原組では以前から組員が連続不審死を遂げていた。
しかも、「ガネーシャ」と名乗る人物から「睡眠を差し出せ」
という奇妙な脅迫メールが…。
一方、街の下に眠る暗渠には、“王子”他6名のホームレスが
社会と隔絶して暮らしていた。
奇妙な連続殺人は彼らの仕業なのか?
ふたつの世界で謎が交錯する超本格ミステリ。

初作家です。
んー。
悪くない。
なんだろ、これだけの厚さに、これだけの不気味な
死がつまってるのに、淡々としてる。
そして、最後に、爆発する。

やくざの抗争、奇妙な死が不気味な影を落とす「地上世界」
世俗を隔離・拒絶したホームレスたちと"私"の「地下世界」

一見なんの関係もないように思えるふたつの物語が
交互に語られていきます。
そのふたつが結び合わさった時。
全ての疑問が化学反応を起こしたかのように、誘発し
解きほぐされていく。

決して後味がよいわけではないが、それなりに満足はできる。

投稿者 fran : 23:38 | コメント (0)

2009年10月15日

看守眼

横山秀夫:著者
新潮文庫

「BOOK」データベースより
刑事になるという夢破れ、留置管理係として
職業人生を閉じようとしている、近藤。
彼が証拠不十分で釈放された男を追う理由とは(表題作)。
自叙伝執筆を請け負ったライター。
家裁調停委員を務める主婦。
県警ホームページを管理する警部。
地方紙整理部に身を置く元記者。
県知事の知恵袋を自任する秘書。
あなたの隣人たちの暮らしに楔のごとく
打ち込まれた、謎。渾身のミステリ短篇集。

警察、というか、警察に関わる職業の人たちの短編集。
非常にいいんですけど、横山氏ってつい期待度高く
持っちゃうのよね。
完成度は相変わらず高いです。
この短さでここまで読ませる作品描ける人なんて
そうそういないと思います。
しかも、けっしてヒーローヒロインじゃない。
重圧感、切迫感、危機感、劣等感、焦燥感などが感情移入しやすい
現実味を持って描かれています。

んでも、なんかちょっと物足りないんだなー
横山氏にはちょっと厳しい私(笑)

投稿者 fran : 23:22 | コメント (0)

2009年10月14日

ころころろ

畠中恵:著者
新潮社

「BOOK」データベースより
摩訶不思議な妖怪たちに守られながら、
今日も元気に(?)寝込んでいる江戸有数の大店の
若だんな・一太郎。
ある朝起きると、目から光りが奪われていた!
その理由は、空前絶後のとばっちり?
長崎屋絶体絶命の危機に、若だんなが名推理。
だけど光りの奪還には、暗雲が垂れこめて―。
佐助は妻と暮らし始め、どうなる、若だんな?
絶好調「しゃばけ」シリーズ第八弾。

短編連作といったとこでしょうか。
ある朝目が覚めたら、目が見えなくなっていた一太郎を
巡って妖たちが繰り広げる騒動。
ちょっと目先がかわっていて面白かった。
しかも、なんとなく、みんなコイバナ(笑)
あの佐助がねぇ。。。(笑)

一太郎の災難はともかくも、終わってみればなんとも
ほのぼのと。
いや、あの神様はね(^^;
かわいそうだけどさ(^^;


投稿者 fran : 23:10 | コメント (0)

2009年10月13日

PINK

柴田よしき:著者
文春文庫

「BOOK」データベースより
『そろそろ時間切れです。心の準備をして下さい』
メイの元に差出人不明のメールが送られてきたその日から、
夫の達也がまるで別人のように変わってしまった。
しかも達也は殺人容疑者として逮捕される。
あいつぐ不可解な出来事がひとつに繋がったとき、
驚愕の事実が浮かび上がった!
震災後の神戸を舞台に、愛の再生を描いた長編ミステリー。

「失ったものを認める作業なしに真の再生はありえない」

愛する人を亡くした時、立ち直る為に、ひとはどうすれば
よいのだろうか。
阪神・淡路大震災で、暴力的に大切なひとを奪われた。
自分では懸命に前を向いて生きてるつもりだった。
でも…

相変わらず先の読めない謎の重ね方が巧い。
そして人の心を見つめる描写があたたかい。
結構、泣けます。

投稿者 fran : 22:56 | コメント (0)

2009年10月08日

残照

今野敏:著者
ハルキ文庫

「BOOK」データベースより
東京・台場で少年たちのグループの抗争があり、
一人が刃物で背中を刺され死亡する事件が起きた。
直後に現場で目撃された車から、運転者の風間智也に
容疑がかけられた。
東京湾臨海署(ベイエリア分署)の安積警部補は、
交通機動隊の速水警部補とともに風間を追うが、
彼の容疑を否定する速水の言葉に、捜査方針への疑問を
感じ始める。
やがて、二人の前に、首都高最速の伝説を持つ風間の
スカイラインが姿を現すが…。
興奮の高速バトルと刑事たちの誇りを描く、傑作警察小説。

神南署から復活した臨海署へまたもそっくりそのまま
移った安積班、新ベイエリア分署シリーズと名付けられた
第一作。
すいません、つっこんでいいですか?
ここでいうベイエリア署こと東京湾臨海署って、もともと
本庁の交通機動隊の分駐署という設定でしょ。
臨海署はなくなっても分駐署はそのままだったわけなんだから
本庁の交機隊だった速水まで神南署に移る必要あったのかなぁ。
サザエさんワールドと化してるこの作品に、いうだけ野暮って
もんでしょうけど(大笑)

ま、それはともかく。
臨海署復帰第一作が、速水主役だとはびっくりだ。
派手な高速バトルに峠バトル。
カーチェイス大好き人間には大興奮だわ(笑)
しかも、おもしろいことに、安積の一人称で話が進む(笑)
シリーズ、これだけだね一人称なのは。

この速水の少年犯罪に対する態度、すごく考えさせられる。
たぶん、警察官としては正しいとはいえないと思う。
この話でいうなら、走り屋、マル走というが、要するに
高速でスピードや危険走行を楽しんでるガキども。
すんごい考え方はバカだし子供だし、どうしようもないんだ
けども、速水は決して手加減しないし本気で向かい合う。
子供相手に大人が本気で向かったら、敵う訳がない。
それを体で叩き込んでる感じ。

風間という少年も、命をかけてスピードを楽しんでいるし
峠バトルのような駆け引きも本気で命をかける。
実際一歩間違えたら、待ってるのは死だけ。
自分を抜けないのは、命かけてないからだとも言い切る。
それが伝説を作っている。

けれども、速水は警察官です。プロです。
自分の気分や体調に関わりなく、仕事ですから、常に体張って
います。今日は気が乗らないからやーめた、というわけには
いかないのです。
そして、どんな相手でも、やり方は変えない。
そういうところが、内外関わらず一目置かれてる。

「相手がどんなワルでも、どんな札付きでも戦いはフェアにやる。
でなければ、相手はこっちの言うことはきかない」

速水のこういう考え方、行動、全てが、安積には理解はできても
非現実だと言わざるを得ない。
でも、速水にとっては、それが現実。
同じ警察官であっても、対象が違うとこうも考え方に違いが出る
ものなのか、という面白さ。
今回はその速水の側に分があり、安積を始め、捜査本部全体が
引きずり回されているというか。
そのあたりが見所です(笑)

でもどんなに型破りでも、速水は立派な、最高に優秀な警察官。
それは、確か。
さらに、実は安積だって速水に負けず劣らずな、ありえない
警察官であり、大人になりきれない大人なのです。
そんなふたりの魅力凝縮、な一作ですね。

今回、速水は、捜査本部に吸い上げられたにも関わらず、
交機隊の制服は脱ぎませんでした(笑)
だから相棒に組んだ安積は、常にパトカーの助手席に。
高速カーチェイス、峠バトル、と腹が冷えきる経験を
させられたにも関わらず、スープラパトカーの助手席が
気に入ってしまったそうだ(笑)
くそうらやましいぜ!!(大笑)

今回も相楽との対立があるんですが、今回はなんと
須田が相楽の相棒を務めます。
安積と須田と相楽の対比も楽しめます。
一番楽しんでるのは速水ですけどね(笑)
きっと須田も楽しんでいたんじゃないかと思います。
転んでもただじゃ起きない男、あの相楽をも閉口
させる男・須田(笑)
そして、臨海署強行犯係の連係プレーの見事さ。
速水の「本当にダメな上司なら部下は助けたりはしない」
という言葉通り、見事な援護射撃で安積の窮地を救います。
どうしても、速水の派手なスタンドプレーの前には地味に
なってしまうけど、縁の下の力持ち的な、頼もしい存在
なのです。

ちなみに。
峠バトルとはなんぞや?という方の為に(笑)

「風間」がいた(大笑)
こういうのって、ちゃんと届けだして、通行止めにして、
危険のないようにしてやってるわけだよね。
けど、全く普通の、一般車だらけの対向車だって当たり前の
山道でやるっつーのは。。。
乗るなよ警察(爆)
絶対、対向車がビビって谷底だってば。
つか、車って、よこにすべらすもんじゃないとおもいます(笑)
高速で、車が横に飛んでるのはみたことあるけどさ。
目の前に飛んでこられたら、ほんと焦るよ。

投稿者 fran : 00:53 | コメント (0)

2009年10月07日

警視庁神南署

今野敏:著者
ハルキ文庫

「BOOK」データベースより
東京・渋谷で銀行員が少年数人に襲われ、金を奪われる
事件が起きた。
新設されて間もない神南署の安積警部補たちは、
男の訴えにより捜査を開始した。だが、数日後、
銀行員は告訴を取り下げてしまう。
一体何があったのか?
そして今度は複数の少年が何者かに襲われる事件が…。
二つの事件を不審に感じた刑事たちが、巧妙に仕組まれた
犯罪に立ち向う!
ベイエリア分署シリーズの続編、待望の文庫化。

こちらが本編神南署安積班のシリーズ。
東京ベイエリア分署シリーズからの続編です。
つーても、これと、以前にレビューのせちゃった
「神南署安積班」の2冊で終わっちゃうんですけど。

しかしこの薄さで、内容てんこもりです。
「蓬萊」や「イコン」が番外編というのも、そっちは
事件に関することを、めちゃ専門的に掘り下げていて
その記述がやたら細かくてあの分厚さになるわけで。
本編は、事件そのものよりも、人間を描くことに重点を
置かれているのです。
だから、安積はいつも自分の部下たちが自分をどう思って
いるかとかが、すんごい気になっている(笑)
気になってるけど絶対表には出さないので、はたからみたら
どっしり構えてる上司、なんです。
このギャップがおもしろい。

オヤジ狩りからやくざの殺害事件まで、一見なんのつながりも
ないようであって、綿密に練られたプロット。
本当に、捜査のライブをみてるように、事件そのものは
地道に進んでいく。
さらに、刑事の視点からだけでなく、巻き込まれた側からの
視点もあり、警察の台所事情な視点もあり、多角的に立体的に
物事がとらえられるようになっている。
ほんと、なかなか核心がつかめないんだよね。
外堀埋める土が多すぎなんじゃ、と思うのだが、次第にその
全てが収束していく様は、巧いなぁと思うのです。

この安積班シリーズを通して、多いのが少年犯罪と芸能関係。
特に、少年、若者に対して、すんごいストレートに厳しいんだけど
すんごい優しさを感じる。
それは速水の言動にも反映されてると思う。
その本領発揮はまた次の話になるんだけど、今回も捜査本部に
吸い上げられて、ぶーぶー言ってたから(笑)
オヤジ狩り=少年なんで(笑)

今回、ぷっつんきちゃった村雨がかっこいいわぁ(笑)
本庁の若いのと組んでるが、あまりの役の立たなさに
思わずぶち切れ。それでも一番の獲物を持ち帰り、さらに
チェックメイトの強烈な援護射撃を放つ。

「おまえは、自分のやったことがどれくらいの手柄か
わかってないのか?」
「係長の下にいるんだ。これくらいのことはやりますよ」

か、かっこいい、、、(笑)

速水は枠から外れたかっこよさだけど、村雨や須田は枠に
はまったかっこよさなんだよね。
いや、須田も枠にははまってないか、、、ある意味一番(笑)
このあたりから、須田は個人的に安積のブレーン的な立ち位置を
確保しだしてる気がしますね。
こっそりとした相談が多くなってきたというか。
なので、キャラの設定がこのあたりでしっかりしてきたとも
見受けられます。

で、今、こいつの後の「神南署安積班」を読み返すと、当時は
分からなかった面がすごくみえてくるんですね。
「神南署安積班」は短編集だし、読んでても全然シリーズものの
途中というような違和感はないのですけど、やっぱりこれまでを
知ってて読むのと知らないで読むのは、違うんだなぁと
しみじみ思ったです。
一番は多分会話。すごく突き放した言い方をすることが多い。
なんかそれ、冷たすぎない?みたいな。
で、安積の、毎回同じなんだけど、部下への評価というか、
村雨が杓子定規だとか須田は刑事らしくないとか、そういう
のがあるもんだから、仲いいの?悪いの?みたいな、、、
今じゃそれ、一種の儀式だもんね(大笑)
ハゲるよ、ハンチョウ、と突っ込みながら読む(笑)
そして、なんで安積がこれほどまでに野村さんに欲しがられて
いるのか、理解できたんですね〜。
いやはや、面倒くさい作品だ(笑)

投稿者 fran : 23:38 | コメント (0)

2009年10月06日

ICONーイコンー

今野敏:著者
講談社文庫

「BOOK」データベースより
マニアを熱狂させるバーチャル・アイドル、有森恵美。
主役が登場しない奇妙なライブで、少年が刺殺された。
警視庁生活安全部少年課の宇津木真は、仮想現実の世界で
生まれたリアルな殺意の真相を探る。
電脳メディアに宿る、現代の「聖画」とは!?
若者たちの神々は降臨するのか…。傑作長編ミステリー。

「蓬萊」に続く神南署安積班の番外編の立ち位置な一作。
ここでは安積や速水と同期の安全部少年課の宇津木警部補が
一応の主役的存在。っていうか、ナビゲータかな。
オイシイところは安積と速水がさらってますから(笑)

それにしても1995年初出、この当時にパソコン通信だの
バーチャル・アイドルだの、おおよそ戸惑う人の方が
多かっただろうに。
あたしがパソコンを持ったのがちょうどそのあたり。
あたしは最初からmacユーザなんで、初めてのパソコンは
パフォーマという一体型に、漢字talkというOSで、容量
なんて16Mとかそんなもんじゃなかった?
Winは95すらなかった時だなぁ。
モデムでパソ通もやってましたなぁ。なつかしい(笑)
んでも、もし当時にこの話読んだとしても、きっと理解
出来なかっただろうと思う。

たった15年なんですよ。あれから。

ということで、多少古い感じはあるにせよ、十分に読み応えは
あります。十分通じます。
なので、相当完成度が高い作品といえるんじゃないでしょうかね。

パソコン通信から生まれたアイドル・有森恵美。
その本人が登場しないライブイベント。そこで起こる殺人事件。
犯人は捕まらず、もみ合いの中での突発的な事故といったんは
判断される。
しかし、続く有森のイベントでまた少年が殺害される。
それは最初に殺害された少年の友人であった。
連続殺人事件として、捜査が始まったが、「仮想現実」という
慣れない世界を相手に、安積たち捜査員は苦戦を強いられる。
パソコンのアイコンはイコンが語源だという。
イコンとは東方正教会で使われる宗教画のこと。
現世と神の世界をつなぐ窓だと考えられていて、
人々はその窓を通して神に会うという。
しかし、この有森とファンをつなぐアイコンの向こう側に
あったのは、きわめて現実的な悲しい事実でした。

で、さらに、仕事一辺な父親と家庭崩壊寸前な家族の修復の
話でもあります。
少年課の警官なのに、自分の子供も理解出来ない、いや、
理解しようとしない宇津木。
今時の若者はわからない、理解出来ない、とあっさり切り捨て
妻との会話も諦め、言い訳にもならない言い訳を自分に
言い聞かせていたが、事件を通して、少しずつ、間違って
いたのは自分なんだと気がついていく。
わからないことをわからないと放り投げるのは簡単でしょう。
拒絶してる人間に歩み寄ろうとする人間なんていないという
ことです。
そういう意味では、今回の事件もすんごい意味不明理解不能
だったんでしょうけど、諦めることを我慢して、自分なりの
歩み寄りを試みた結果、家庭のことまでいい方向に転んだと。
流行ものは強い(笑)

さて。
待ってました!の速水小隊長、大爆走(笑)
いや、とりあえず神南署では交通課の係長で、書類仕事で
机に縛りつけられ、檻の中の猛獣状態であり、スープラ
パトカー隊の小隊長だったのは過去の話になっているが。
捜査本部に吸い上げられた記念すべき1回目がこれ(笑)
交通機動隊として少年相手をすることが多かった経験をかって
安積が引っ張ってきたんだけど、超マイペース。毒舌。
で、いちいち、かっこいい(大笑)
そして、誰よりも安積を理解し、さりげないフォローに回る。
でも、本庁の刑事との衝突を誰よりも面白がっている(笑)
つか、そういう衝突が、安積の評判を上げていくことが、
わかってるんだよね。
渋谷署の過剰なまでの援護射撃がそれを裏付ける。
「おまえは上からは嫌われるが、下の者には慕われるな」

今回の速水語録のツボ。
捜査会議の安積のやり方について、いくつかのやりとりの後
「どうしておまえは、そういうところばかりみているんだ」と
呆れる安積に放ったひとこと。

「刑事の生態がおもしろくてな…」

ハンチョウ絶句(大笑)

速水に毒気を抜かれた感じになっちゃうけど、コンピュータ
といったら須田っすよねぇ。
こちらの静かな活躍もお見逃しなく(笑)
そして、村雨がめずらしく泣き言をいうのも(笑)

あ、そういや今回、速水は「おまえさん、しばらく、その
制服を脱いでみる気はないか?」といわれてたんだよな。
て、ことは、私服。でも刑事じゃないし、絶対背広なんか
着ないと思う。で、どういうかっこで安積と歩きまわって
いたんだろうなぁ(笑)
Gパンに革ジャンだったら、笑う。
典型的な、疲れたサラリーマン風な安積と、どうみてもそれじゃ
相棒じゃないでしょ(ゲラ)

だめだ、、、どうしても速水のことばかりになってしまう(^^;
すでに、恋だなこれは(自爆)
パトカー乗りたい…(そっちかよ・笑)

投稿者 fran : 23:42 | コメント (0)

2009年10月03日

蓬萊

今野敏:著者
講談社文庫

「BOOK」データベースより
そのゲームには「日本」が封印されている!?
人気沸騰のゲームソフト「蓬莱」を開発した
ソフトハウスは、パソコン版に続きスーパー
ファミコン版を計画した。
しかし、恫喝し、力尽くでその発売を執拗に
妨害する巨大な力が…。
バーチャル・ゲームと伝奇世界がリアルに
交錯する傑作エンタテインメント巨編。

神南署安積班シリーズの初めという位置づけが
なされてるようですが、、、
むしろ番外編ですね。
あくまでも、主役はゲームソフト会社の社長・渡瀬
ですので。

いやしかし、これすごいわ。
キーワードともなっているシュミレーションゲーム
「蓬萊」のディテールのリアリティさ。
シムシティの亜種みたいなもんだと話の中でも言われて
いますが、まぁたしかにそこからヒントは得てるんだろう
けど、本気で企画したら、乗ってくる会社あるんちゃう?

そして、そのゲームにかぶせた元となる古代伝説「徐福」。
秦の始皇帝に申し出、不老不死の薬を求め海を渡った徐福が
日本に渡来したという伝説が日本各地に残っている。
徐福=神武天皇という説もあるが、真相は定かではない。

・・・初めて知った・・・

わりかし歴史ものも読んでるつもりだったが、一度もその名前を
見たり聞いたり読んだりした記憶が、ない。
うーむ。これでまたひとつおりこうさんになったかなぁ(笑)
なにしろ、ものすごい掘り下げて語っていますから。
これ読むだけで、徐福の一通りの知識は付いちゃうくらい。
残念ながら、興味はそれほどもてなかったけどね(笑)

ともあれ。
「蓬萊」とは国作りのシュミレーションゲーム。
簡単に言っちゃうと「日本が封印されている」ゲームなんだそうだ。
で、国作りとはいえ、ただのシュミレーションゲーム。
そんなものを政治家がやくざを雇ってまで、発売妨害しようとする。
一体、ゲームと政治家になんの関係があるのか?
その謎を渡瀬と社員である沖田たちが解いていこうとする。
(解かなきゃ死活問題ですゆえ・笑)

その助けになっているのが、安積と須田と黒木。
今回この3人だけです。
もちろん、あくまでも警察官としての態度や対応は崩さない
ですけど、今までとは、ちょっと違った安積もみられます。
そして、今回主役は渡瀬なので、その渡瀬から見た安積が
描かれているわけで、結構新鮮でした。

それにしてもスーファミ、、、懐かしい(笑)
ほんとに、懐かしいもんばっかだよ、安積シリーズは(笑)
それでも、小道具がどんなに古くて懐かしくても、
作品としては古びてないところは、すごいことだと思う。

投稿者 fran : 23:18 | コメント (0)

2009年10月02日

硝子の殺人者

今野敏:著者
ハルキ文庫

「BOOK」データベースより
東京湾岸で乗用車の中からTV脚本家の絞殺死体が
発見された。現場に駆けつけた東京湾臨海署
(ベイエリア分署)の刑事たちは、目撃証言から
事件の早期解決を確信していた。
だが、即刻逮捕された暴力団員は黙秘を続け、
被害者との関係に新たな謎が―。
華やかなTV業界に渦巻く麻薬犯罪に挑む
刑事たちを描く、安積警部補シリーズ待望の刊行。

東京ベイエリア分署シリーズ第3弾。

これを最後に、シリーズはいったん幕を閉じます。
現実の副都心構想がバブルが弾け、止まってしまったからです。
結構実在のものがリンクしてるんで、無視出来なかったという
ことらしいです。
そして更に、これを最後に大橋が安積班を離れ臨海署を去り、
上野署を経て竹の塚署に異動します。
後に「最前線」で再会するのですけど、その様子はまた
その時に。

今回は政治家も絡んでくる微妙な展開。
相楽が権力に屈しているのか否か。
上昇志向が激しいやつは、自分の身かわいさに、どんな
横やりいれるか分からんしな。
という、安積vs相楽。
まぁ、やり方はどうあれ、相楽もちゃんと警察官でした(笑)
あ、ネタバレ?ま、いっか。
結果より過程が楽しい(笑)

話は1991年、18年前に書かれたものですが、覚せい剤や
暴力団などと芸能界の関わりなんて、まさしく今どストライク
じゃあないですか。
まぁ、別に今に始まったことじゃないわけですが、アイドルと
薬物って、、、ねぇ、、、

そして、警察官身内の犯罪。
安積はどう判断するか。どう結論にもっていくか。
そのあたりも、慎重で悩み深い彼の性格がよく描かれているかと。
そして、本当に、ひたすら警察官であろうとする、まっすぐな
生き方に感動を覚える。

えーと、今回は速水も交機隊も出番なしだったかな。
これもひとつの楽しみなんだけどね。
あ、思いっきり私用でパトカー飛ばしたか。
しかも、安積の元妻と娘の涼子の出迎え(笑)

「職務特権という言葉を知っているか」
速水が訊いた。安積はこたえる。
「職権乱用という言葉なら知っている」

この職務特権と職権乱用の考えの違い、ふたりの
性格の違いをものの見事に言い表していて
あたしのお気に入りのひとつです(笑)
そして、安積と元奥さんがよりを戻したがって
いることを、本人たちよりも察している速水が
誰より何より、心を砕く事柄なのがずっしり伝わります。
口ではすっごく迷惑そうなんですけどね。ハンチョウ。
そんな友情が、うらやましい。

投稿者 fran : 00:45 | コメント (0)

2009年10月01日

虚構の殺人者

今野敏:著者
ハルキ文庫

「BOOK」データベースより
東京湾臨海署―通称ベイエリア分署の管内で、
テレビ局プロデューサーの落下死体が発見された。
捜査に乗り出した安積警部補たちは、現場の状況から
他殺と断定。被害者の利害関係から、容疑者をあぶり
出した。
だが、その人物には鉄壁のアリバイが…。
利欲に塗れた業界の壁を刑事たちは崩せるのか?
大好評安積警部補シリーズ、待望の文庫化。

このハルキ文庫では、この「虚構の殺人者」と
「硝子の殺人者」が前後入れ替わっているみたいです。
つまり「硝子〜」が先に発売されたみたいなんですが
初出年代をみると「虚構〜」が先なので、ここは
あえて文庫の番号を無視させてもらいます。

「東京ベイエリア分署」シリーズ第2弾です。

東京湾岸で男性の死体が発見された。
男はテレビ局の敏腕プロデューサー・飯島。
新しいビルのオープン記念パーティーに出席していた飯島は
非常階段から転落死したものと見られた。
現場の状況から他殺と断定され、同じ局のプロデューサー
大沼が容疑者として浮かぶ。
二人は新番組の企画で対立していたのだ。
しかし、大沼には完璧なアリバイがあった。

今回速水は関わらないけど、大興奮の交機隊バトル(笑)
すんげぇかっこいいっす!
いや、これ本題関係ないんですけどね。
村雨と組む大橋が、杓子定規な村雨のせいで自分らしさを
無くしているのではないかと心配し、桜井を村雨と組ませ、
安積が大橋と組んで、別件の自動車窃盗犯を追っかけている
時の話です。

「臨海1。こちら臨海30。ショウはまだか?」
「臨海30。ご心配なく。ショウタイムです」

その瞬間、脇を駆け抜けていく怪物バイクGL1500。
そしていきなり路肩から現れるスープラ。
そのカーチェイスの一部始終を追っかけて、
アメリカの刑事ドラマを見てるようだ、とぽかーんと
する大橋に、手錠をかけに行かす安積。

こういう余談が憎い(笑)

さらに。
なんで刑事になれたのかさっぱりわからない、と周りは
思うであろう須田の活躍も地味ですが目が離せません。
大橋が手錠をかけた窃盗犯、頑なに口を閉ざしてる、を
口割らしちゃうんですから。

勘ぐり大王・安積の表にださないおろおろも見所(笑)

そして今回も、相楽、惨敗(笑)
ますますライバル意識燃やすことに(大笑)

警察ものとしての見所も、人間模様の見所も、きっちり
楽しめます。

投稿者 fran : 00:49 | コメント (0)