2014年04月29日

人質の朗読会

小川洋子:著者
中公文庫

「BOOK」データベースより
遠く隔絶された場所から、彼らの声は届いた。
紙をめくる音、咳払い、慎み深い拍手で朗読会が始まる。
祈りにも似たその行為に耳を澄ませるのは
人質たちと見張り役の犯人、そして…
しみじみと深く胸を打つ、小川洋子ならではの小説世界。

投稿者 fran : 01:02 | コメント (0)

2011年09月04日

猫を抱いて象と泳ぐ

小川洋子:著者
文春文庫

「BOOK」データベースより
「大きくなること、それは悲劇である」。
この箴言を胸に十一歳の身体のまま成長を止めた少年は、
からくり人形を操りチェスを指すリトル・アリョーヒンとなる。
盤面の海に無限の可能性を見出す彼は、いつしか「盤下の詩人」
として奇跡のような棋譜を生み出す。
静謐にして美しい、小川ワールドの到達点を示す傑作。

投稿者 fran : 14:00 | コメント (0)

2010年07月21日

夜明けの縁をさ迷う人々

小川洋子:著者
角川文庫

「BOOK」データベースより
世界の片隅でひっそりと生きる、どこか風変わりな人々。
河川敷で逆立ちの練習をする曲芸師、
教授宅の留守を預かる賄い婦、
エレベーターで生まれたE.B.、放浪の涙売り、
能弁で官能的な足裏をもつ老嬢…。
彼らの哀しくも愛おしい人生の一コマを手のひらで
そっと掬いとり、そこはかとない恐怖と冴え冴えとした
フェティシズムをたたえる、珠玉のナイン・ストーリーズ。

投稿者 fran : 01:15 | コメント (0)

2009年04月06日

小川洋子:著者
新潮文庫

「BOOK」データベースより
恋人の家を訪ねた青年が、海からの風が吹いて初めて鳴る
“鳴鱗琴”について、一晩彼女の弟と語り合う表題作、
言葉を失った少女と孤独なドアマンの交流を綴る「ひよこトラック」、
思い出に題名をつけるという老人と観光ガイドの少年の話「ガイド」など、
静謐で妖しくちょっと奇妙な七編。
「今は失われてしまった何か」をずっと見続ける小川洋子の真髄。
著者インタビューを併録。

投稿者 fran : 00:41 | コメント (0)

2006年04月09日

凍りついた香り

小川洋子:著者
幻冬舎文庫

うらがきより
今でも彼の指先が、耳の後ろの小さな窪みに触れた瞬間を
覚えている。まずいつもの手つきでびんの蓋を開けた。
それから一滴の香水で人差し指を濡らし、もう片方の手で
髪をかき上げ、私の身体で一番温かい場所に触れた─。
孔雀の羽根、記憶の泉、調香師、数学の問題・・・
いくつかのキーワードから死者をたずねる謎解きが始まる。

なんの前触れもなく、自殺した弘之。
一緒に暮らし始めて1年がたった時だった。
死んでから、あまりにも弘之のことを何も知らなすぎたと
気がつく涼子。
弟がいたこと、数学が得意だったこと、スケートが上手だったこと・・・
弘之の残した足跡をたどるためプラハに飛んだ涼子。
弘之が残した香水”記憶の泉”を握りしめて。

香水につけた名前が非常にツボでした。
”締め切った書庫””埃を含んだ光””凍ったばかりの明け方の湖”
などなど。
こんなイメージの香りが作れたら、とふと思いました。
前にアロマテラピーでいろんなブレンドをしてた時を思い出し
これならミルラを使うかなとか、ローズマリーとシダーを
ブレンドしたら近いかな?とかいろいろ考えて楽しかったです。

そして、数学。今ハマりなんでしょかね〜小川氏。
博士〜でちょっと一般よりになってしまったから、あっち側な
世界に戻ってきてくれて、うれしいです(笑)

投稿者 fran : 23:15 | コメント (0)

2005年12月12日

博士の愛した数式

小川洋子:著者
新潮文庫

うらがきより
「ぼくの記憶は80分しかもたない」博士の背広の袖には、
そう書かれた古びたメモが留められていた─
記憶力を失った博士にとって、私は常に”新しい”家政婦。
博士は”初対面”の私に、靴のサイズや誕生日を尋ねた。
数字が博士の言葉だった。やがて私の10歳の息子が加わり、
ぎこちない日々は驚きと歓びに満ちたものに変わった。
あまりに悲しく暖かい、奇跡の愛の物語。
第1回本屋大賞受賞。

文庫化はやっ!新書でてから2年もたってないよ?
通常3年待ちで、売れてるとなかなか文庫化しないのに、
新書でも結構売れてるのに、驚異のスピード。
太っ腹〜(・o・)
当分読めないと思っていただけに、うれしい。

それはさておき。
事故で物事を記憶する能力が失われ、記憶の蓄積は1975年で
終わってしまっている数学博士と、派遣家政婦の「私」の交流。

《30年前に自分が見つけた定理は覚えていても、昨日食べた
夕食のメニューは覚えておりません。簡潔に申せば、頭の中に
80分のビデオテープが1本しかセットできない状態です。
そこに重ね録りしていくと、以前の記憶はどんどん消えてゆきます》
(本文より)

博士は常に数学で話をする。自分が覚えているのは数学だけだからだ。
靴のサイズを聞いて階乗を説明し、電話番号を聞いて素数の説明をし
誕生日を聞いては友愛数を説明する。
数学の式がいかに美しいか、答えにいたるまでの経過は、例え数学が
苦手な人でも引き込まれるんじゃないでしょか。
うっとりするほどリズムにあふれた文章でした。

そして、子供をなによりも一番に愛する博士。「私」の息子は頭が
平らっぽいことから√(ルート)と呼ばれ、80分後も忘れないように
メモを体に貼り付けるほどに愛される。そしてルートも博士の全てを
受け止め、愛する。
「私」と博士とルート。悲しい話といえば、そうなるのだけど、でも
優しさにあふれたお話でした。

映画化も決定して、博士が寺尾聰だと知ったとき、いいかもとおもた。
なんとなく小汚い(失礼!)雰囲気がよく合うかも(笑)
小川氏はあんまり人に勧めないが、これは勧めたくなりましたよ。
数学アレルギー?んなもんどうでもよい(笑)
学校で習った数学なぞ必要ないぞ♪

「実生活で役に立たないからこそ、数学の秩序は美しいのだ」
(本文より)

投稿者 fran : 23:15 | コメント (6)

2005年11月28日

沈黙博物館

小川洋子:著者
ちくま文庫

うらがきより
耳縮小手術用メス、シロイワバイソンの毛皮、切り取られた乳首・・・
「私が求めたのは、その肉体が間違いなく存在しておったという証拠を
最も生々しく、最も忠実に記憶する品なのだ」
老婆に雇われ村を訪れた若い博物館技師が死者たちの形見を盗み集める。
形見たちが語る物語とは?村で頻発する殺人事件の犯人は?
記憶の奥深くに語りかける忘れられない物語。

えっと、ぶんぶんの未読本の中から奪ってきた1冊です(笑)
ってか、読むの?これ?ほんとに?

小川ワールドはどことなく歪んだ時間と空間と世界が特徴ですが、
これはなかなかいいお話ですた。
でも歪んでます(笑)

とある村に博物館を作るためにやってきた博物館技師の「僕」。
この”博物館”というものからして、我々の常識の”博物館”を
思い浮かべてはいけません。
なにを陳列するのかというと、その村に住んでる人たちの「形見」。
しかし、「形見」は分けてもらうのではない。その人が確かに
存在したということを色濃く現しているものを、盗んでくるのです。
その人が常に身につけていたもの、仕事の道具、体の一部などなど。
そしてその「形見」はその人の物語を語ります。
ふと、あたしだったら何を陳列してもらいたいだろうか?と考えました。
というか、何が選ばれるだろうか?ですな。
語ってもらうほどの人生は送ってないが、いやいやこれでかなり波瀾万丈
してるからな〜(笑)
あたしの「形見」はどんなふうに”あたし”を語るかしら。

博物館技師と雇い主の老婆とその娘、庭師とその妻の家政婦、沈黙の
伝道師、これらの関わりの中で静かに時間が流れていきます。

博物館は小川氏お得意なのかな。ほかにもこういったこだわりの
博物館を描いた話があった、はず・・・

投稿者 fran : 23:04 | コメント (2)

2005年06月24日

寡黙な死骸みだらな弔い

小川洋子:著者
中央文庫

うらがきより
息子を亡くした女が洋菓子屋を訪れ、鞄職人は
心臓を採寸する。内科医の白衣から秘密がこぼれ落ち、
拷問博物館でベンガル虎が息絶える。
時計塔のある街にちりばめられた、密やかで残酷な
弔いの儀式。清冽な迷宮を紡ぎ出す、力作連作短編集。

かなーりインパクトの強い連作。
ひとつひとつの話は独立してるようでいて、
どこかでつながっている、なんとも不思議な話。

見ようによってはファンタジーなんだよね。
でもどことなくホラー。
心臓が体の外に飛び出してるから、保護する鞄を
作ってくれなんて、考えたらちょっとグロ〜なんだが
とても美しいもののように書かれている。
朽ちかけた元郵便局の建物の中には果物のキィウィーが
びっしり詰め込まれていて、かなり不気味〜なんだが、
とても新鮮で瑞々しくおいしそうに表現されている。

いわゆる常識から逸脱した行動だったり情景だったり
まともに読んではいけないのです。

あたしはこーゆー壊れた世界も好きだったり。

投稿者 fran : 21:58 | コメント (0)