2010年04月23日

千年樹

萩原浩:著者
集英社文庫

「BOOK」データベースより
東下りの国司が襲われ、妻子と山中を逃げる。
そこへ、くすの実が落ちて―。
いじめに遭う中学生の雅也が巨樹の下で…「萌芽」。
園児たちが、木の下にタイムカプセルを埋めようとして
見つけたガラス瓶。そこに秘められた戦争の悲劇
「瓶詰の約束」。
祖母が戦時中に受け取った手紙に孫娘は…「バァバの石段」。
など、人間たちの木をめぐるドラマが、時代を超えて交錯し、
切なさが胸に迫る連作短編集。

これはおもしろい、と思いました。
一本の樹-楠の樹-の生涯みたいな。

遥か昔、その樹が生える元となった
出来事から、未来である現代の出来事と
それをまたさらに遡った話とを、繰り返しながら
いろんな、まつわる話を紹介していく手法。
(遡る、の反対語ってないの?ググっても
訳分かんないのにしかあたんなくて苛つく)

ちょっとホラーちっくではありますが。

投稿者 fran : 00:50 | コメント (0)

2009年05月25日

あの日にドライブ

萩原浩:著者
光文社文庫

「BOOK」データベースより
牧村伸郎、43歳。元銀行員にして現在、タクシー運転手。
あるきっかけで銀行を辞めてしまった伸郎は、仕方なく
タクシー運転手になるが、営業成績は上がらず、希望する
転職もままならない。そんな折り、偶然、青春を過ごした街を
通りかかる。もう一度、人生をやり直すことができたら。
伸郎は自分が送るはずだった、もう一つの人生に思いを巡らせ
始めるのだが…。

イライラした(苦笑)

要するに、人生上手く行かない愚痴でしょ?
絶対服従の上司にたてつき、辞めるはめになった銀行に
未練たらたらのあげく「おれはこんなとこにくすぶってる
人間じゃない!」という、その辺に転がってて邪魔な勘違いヤロー
そのまんま。
で、ひたすら「あのときあーだったらこーだったら」と
考えても仕方ないことばっかり考えてる。
ほんっと、読んでて何度投げたくなったか。
こんなもん、わざわざ小説にする意味あるのかと思っちゃいましたよ。
つーか、男の99%はこれだね。
口先だけじゃない男なんて1%いるのか?と思うよ。

流星ワゴンみたいに、現実離れっぽくなるのかなーと思っていたのに
ひたすらただの妄想なんだもん。
くだらなすぎ。

投稿者 fran : 23:30 | コメント (0)

2008年04月23日

なかよし小鳩組

萩原浩:著者
集英社文庫

「BOOK」データベースより
倒産寸前の零細代理店・ユニバーサル広告社に大仕事が舞いこんだ。
ところが、その中身はヤクザ小鳩組のイメージアップ戦略、という
とんでもない代物。担当するハメになった、アル中でバツイチの
コピーライター杉山のもとには、さらに別居中の娘まで転がりこんでくる。
社の未来と父親としての意地を賭けて、杉山は走りだすが—。
気持ちよく笑えて泣ける、痛快ユーモア小説。

ありえん。ありえないけど、おもしろけりゃそれでいい。
そんな小説です。
ヤクザさんが暴対法の目をすり抜けるべく、「健全な会社」を
アピールするために図ったイメージアップ戦略。
金融業といやサラ金、医薬品販売は麻薬、経営コンサルは風俗、
不動産仲介は地上げ、等々。
これをどう健全な会社にしたて上げるつねん(笑)
なんとかして断りたいところだが、社長が全く役に立たず。。。

流されてるだけじゃない、諦め半分でもなんとかやったろうかという
杉山の奮闘が、ひたすら楽しい。
娘の早苗がこれまたいい味だしてて。

欲をいうなら、最後まで描いて欲しかったなー
感動の涙で終わらせちゃうって、なんかつまらんぞー
結構そういうとこ、ありますね。萩原氏。

投稿者 fran : 00:32 | コメント (0)

2008年01月07日

明日の記憶

萩原浩:著者
光文社文庫

うらがきより
広告代理店営業部長の佐伯は、齢五十にして若年性アルツハイマーと
診断された。仕事では重要な案件を抱え、一人娘は結婚を間近に控えていた。
銀婚式をすませた妻との穏やかな思い出さえも、病は残酷に奪い去っていく。
けれども彼を取り巻くいくつもの深い愛は、失われゆく記憶を、はるか明日に
甦らせるだろう!山本周五郎賞受賞の感動長編、待望の文庫化。

ほぼ同時期に映画化された「博士の愛した数式」と、どーしても
くらべちゃうのよねぇ。
「博士ー」がちょっと変わった作風なのに対して、こちらはほんとに
いつ、自分の親に、友人に、そして自分自身に起こってもおかしくないこと。
あまりに淡々と描かれているので、かえって想像が。。。(^^;

個人的には「博士ー」の方が好きです。
あんまり現実に肉薄しちゃうと引いちゃうかもしんない(^^;
つか、比べるもんでもないのだけど。

投稿者 fran : 23:35 | コメント (0)

2007年09月05日

誘拐ラプソディ

萩原浩:著者
双葉文庫

「BOOK」データベースより
伊達秀吉は、金ない家ない女いない、あるのは借金と前科だけの
ダメ人間。
金持ちのガキ・伝助との出会いを「人生一発逆転のチャンス?」と
ばかりに張り切ったものの、誘拐に成功はなし。警察はおろか、
ヤクザやチャイニーズマフィアにまで追われる羽目に。
しかも伝助との間に友情まで芽生えてしまう—。
はたして、史上最低の誘拐犯・秀吉に明日はあるのか?
たっぷり笑えてしみじみ泣ける、最高にキュートな誘拐物語。

なんともご都合主義だなぁ(笑)
コメディだと思って読めば、いいのかも。
でも、なんかこんな勘違いと勘違いがぶつかるのも、現実に
ありそうな気がする。
そして、あまりにも幸運すぎる巡り合わせも(笑)
突っ込む気にもならないくらいなんで、これはやっぱりコメディ(笑)

投稿者 fran : 23:35 | コメント (0)

2007年07月27日

コールドゲーム

萩原浩:著者
新潮文庫

「BOOK」データベースより
高3の夏、復讐は突然はじまった。
中2時代のクラスメートが、一人また一人と襲われていく…。
犯行予告からトロ吉が浮び上がる。4年前クラス中のイジメの標的だった
トロ吉こと廣吉。だが、転校したトロ吉の行方は誰も知らなかった。
光也たち有志は、「北中防衛隊」をつくり、トロ吉を捜しはじめるのだが—。
やるせない真実、驚愕の結末。高3の終らない夏休みを描く青春ミステリ。

きっと現実にあってもおかしくはない・・・
そんな話でした。
青春ミステリちゃうやろー
子供の時の思い出、に括って欲しくないですね。

イジメは本人だけでなく、周りも狂わせる。
復讐は良くない、でも、そうしてしまう気持ちもわかる。
でもやるせない。
ラストは驚愕でもあったが、いささか拍子抜けでもあった。
でもこれもきっとあり得なくはないんだろうな・・・

割と幅広い作風を持つ萩原氏。
もうちょっと読んでみよう。

投稿者 fran : 01:15 | コメント (0)

2007年06月21日

メリーゴーランド

萩原浩:著者
新潮文庫

「BOOK」データベースより
過労死続出の職場を辞め、Uターンしたのが9年前。
啓一は田園都市の市役所勤務。愛する妻に子供たち、あぁ毎日は平穏無事。
…って、再建ですか、この俺が?あの超赤字テーマパークをどうやって?!
でも、もう一人の自分が囁いたのだ。“やろうぜ。いっちまえ”。
平凡なパパの孤軍奮闘は、ついに大成功を迎えるが—。
笑って怒って、時々しんみり。ニッポン中の勤め人の皆さん、必読。

いわゆる「お役所人間」を相手の孤軍奮闘記。
事なかれ主義で腐敗しきったお役人。
保身のためならば、どんな嘘でも平気でつくお役人。
マニュアル通りにしか動けないお役人。
税金で給料もらってる自覚ゼロのお役人。

えぇ、公務員だいっきらいですが、なにか?(笑)
特に市役所とか、もう、撃ち殺してやりたいくらい嫌いですね。
あれほど臨機応変という言葉が辞書からすっぽり抜けてる所もないでしょな。

おっと。
ま、それはともかく。
そんなお役所体質を見事に書き表せた一作でしょう。

しかし。
主人公は決してヒーローではない。
お役所体質にむかつきながらも、どっちかってと、やっぱり流されて
必死で舵をとってバランスを保ってる。
所詮、一個人には腐り切った怪物には歯が立たないのである。
それでも、なんとかしてやろうとあがく様に、なんとなくすっきりして
しまうのです。ほんとに些細で、でもものすごく頑丈な壁を、ちょっと
でも崩せた時に拍手喝采送りたくなるのです。

決してハッピーエンドとも、上手いともいえないラストだけど、
まぁ悪くないと思いますね。

同じ所を同じスピードでぐるぐる回るだけのメリーゴーランド。
同じ事を同じ慣習でぐるぐる繰り返すだけのお役所。
言い得て妙。

投稿者 fran : 00:25 | コメント (0)

2006年09月29日

僕たちの戦争

萩原浩:著者
双葉文庫

うらがきより
”根拠なしポジティブ”の現代フリーターと、昭和19年の「海の若鷺」に
あこがれる軍国青年が時空を超えて入れかわった!
それぞれの境遇に順応しつつも、ふたりはなんとか元の時代に戻ろうと
するが・・・。
おもしろくもやがて切ない、愛と青春の戦争小説。

これかどうかは知らないけど、昔こんなドラマありましたよね。
最近「ドラマ化決定!」ということは、以前のはこれじゃないのかも
しれないが、まぁありきたりな設定といったとこでしょか。
ありきたりですが、なかなか。
「若い」というのは、やっぱり柔らかいのね。
今もし自分が、戦争まっただ中な時代に放り込まれたら・・・
どうなのかしら。
自分の境遇を呪っても、泣いても喚いても、生きて行かなきゃならないと
したら。ま、人間なんて逞しいから。
なんとかなるかも。

さて、自分のことしか考えない現代っ子が、「御国のため!!」な時代に
行ってしまい、四角四面くそ真面目な青年軍人が、へらへらした現代に
きてしまい。。。
それぞれのパニックぶりが交互に描かれていきます。
もちろん、お互いが入れかわったことなど、周りは誰一人として気が
つかないほどの、瓜二つな顔や体型やくせ、という設定です。
でも中身が違うから、「気が狂った?!」となってしまうのですが。

物が溢れ、便利には確かになっているが、
「自分たちが命を賭けて守ろうとしてる日本の行く末がこれなのか?」
と、悩む吾一。ちょっと痛いです。
過去で、自分と自分の恋人の祖父母に当たる人物と出会ってしまい
「一体俺になにをさせようというのか?!」
未来に産まれるはずの自分の恋人を”守る”ため、人間魚雷・回天に
乗り込んでしまう健太。
その結末は・・・
はっきりとは描かれていません。
そうだよね、どっちにしても悲しすぎます。

でも、おもしろかったです。
最近ブームみたいで、萩原氏の作品がいっぱい山積みになってます。
うまく選べば、当分楽しめそう。

投稿者 fran : 22:34 | コメント (0)

2006年08月02日

萩原浩:著者
新潮文庫

うらがきより
「レインマンが出没して、女のコの足首を切っちゃうんだ。でもね、
ミリエルをつけてると狙われないんだって」。
香水の新ブランドを売り出すため、渋谷でモニターの女子高生がスカウト
された。口コミを利用し、噂を広めるのが狙いだった。
販売戦略どおり、噂は都市伝説化し、香水は大ヒットするが、やがて
噂は現実となり、足首のない少女の遺体が発見された。
衝撃の結末を迎えるサイコ・サスペンス。

WOM─Word of Mouth─
要するに口コミ。
人の口に戸はたてられないとは申しますが・・・
おおむね、良い噂より悪い噂の方が広まるのは早いような気がします。
そんな人間の性とでもいうものを、逆に利用して商売にしてしまう。
それが引き起こす悲劇と恐怖。

昔、○クドナルドのハンバーガーの肉は鼠の肉だとか猫の肉だとか、
聞いた覚えありませんか。
道端で車にひかれてしまった猫を指差し「マクドナル○がそのうち回収
しにくるよ」とうちの母は大真面目に言いました。
すんげーショックだった記憶があります。
ファーストフードなんて身体によくない食べ物を、子供に食べたいと
いわせまいとした母親の一種の知恵でもあったんでしょうが、でも
実際当時はそんな噂が流れていたそうです。
信用なかったですねーアメリカ(笑)
今だったらさしずめ「狂牛病にかかった牛の肉」でしょうか。
そっちの方が怖いわい(苦笑)

ま、それはともかく。
その噂・口コミの怖さを思い知らされる話です。
高校生の娘がいるとはいえ、堅物の警察官である小暮と、学校にも行かず
渋谷で遊び回っているギャルたちのやりとりが非常におもしろい。
まず、言葉が通じないのは笑う通り越して、あたしもわかんないんです
けど、と焦ってみたり(苦笑)
いや、別にわかる必要もないんだが。

そこそこテンポもよく、軽めの警察がちょっと鼻につきますが、
まぁ、横山氏じゃないんだから、いいとして。
いや、最後の一行。
こぇーっすよ。
きっと、本当の戦いは、この後なんでしょうな。

投稿者 fran : 23:13 | コメント (4)

2006年05月22日

神様からひと言

荻原浩:著者
光文社文庫

うらがきより
大手広告代理店を辞め「珠川食品」に再就職した佐倉凉平。
入社早々、販売会議でトラブルを起こし、リストラ要員収容所と
恐れられる「お客様相談室」へ異動となった。
クレーム処理に奔走する凉平。実はプライベートでも半年前に
女に逃げられていた。
ハードな日々を生きる彼の奮闘を、神様は見てくれているやいなや・・・
サラリーマンに元気をくれる傑作長編小説。

お、、、おもしろい。ぶくくく。
よくある話だとは思います。地位にふんぞり返って世間がみえない
重役。出世のためならば部下を踏みにじる上司。
我慢のきかない若者。
いや、どこの会社でもある光景を、ここまでリアルにしかしおもしろ
おかしく描きだす。
所々、ゆるいギャグとばして脱力することもありますが(苦笑)

「珠川食品」は”タマちゃんラーメン”が主力商品の、いわゆる
インスタント系の食品会社。
しかし、ライバル社はごまんとおり、経営の危機におちいっている。
社運をかけた新商品の販売会議でネーミングプランを発表することに
なっていた凉平。広告代理店に勤めていたという前歴から、副社長に
期待をかけられている、、、はずだった。
しかし、会社は俺のものな重役、中途のくせにとねたむ上司、そして
肝心の副社長からも、完全に無視された状態となりキレる凉平。
そして、凉平は「お客様相談室」へと懲戒異動。
そこは別名「リストラ要員の強制収容所」といわれている場所であった。
主な仕事は客からのクレーム処理。
凉平はこの会社の商品が、一体どれほどのものなのかを知ることになる。
そして、”普通”とはかけはなれた面妖な上司・同僚たち。
どうせすぐ辞めるつもりでいた凉平であったが、、、

このクレームの嵐が、異常っす(笑)
っていうか、お客様相談室って、標的なのね(笑)
なんか、これ読み乍らボンブの会社にかかってくる問い合わせの
電話の話を思い出して、いやーたいへんねーと。
凉平の直属の上司になった篠崎、もぅどーしょーもない男だが、
かなりすごいのである。クレーム処理のプロ?
読み終わる頃には尊敬してました(笑)

こんな会社辞めてやる!と思いつつも日々は過ぎる。
気がつけば凉平も立派にクレームをあしらうプロとなりつつあり・・・
そんなところも、きっとみんなおんなじ。
共感度高いとおもわれ。

最後はありえない報復劇となるが、機会さえありゃ誰でもやりたい
ことだろうね。そういう意味でもすっきり(笑)
なかなかおもしろい一冊でした。

投稿者 fran : 23:15 | コメント (2)